No.292, No.291, No.290, No.289, No.288, No.287, No.285[7件]
SS / #双界の灯
1235文字
ミハネが物をよく贈ってくるようになった。
自身の綺麗な羽根をふたつ、貰ったのが始まりだったように思う。
最初の方こそは返せるものはないよと遠慮したが、とても悲しげな顔をするので、受け取るだけ受け取るようになって、数ヶ月が経って―――。
「よお、アウル」
「ああ、どうも、カゲリさん。何か用かな」
「いやいや、たまたま見掛けたから声掛けただけだよ。元気そうでなによりだ、装飾が増えたか?」
「あはは……ミハネがさ、なんだか沢山くれるんだよね。とても嬉しいのだけど、最近は持ち余してるかもな」
ぱちくり。カゲリは不思議そうに目を瞬かせて首を傾げた。
「へえ、お前らいつから付き合ってんの?」
「えっ」
今度はアウルが首を傾げた。付き合う。付き合う? ―――ミハネと?
「……いや、彼女はそういうのじゃないよ」
「え!?」
ギョッとしたカゲリは、慌てて周囲を見渡すと、ひとまず、とアウルを陰の方に引っ張って行った。
「な、なんだよ、急に改まって」
「あのな、お前。カラスの求愛行動って知らないか」
「はあ?」
び、と指を立ててカゲリは言う。
「いくつかあるにはあるんだが……、そのうちひとつに、物を贈る、があるんだ。きっとミハネちゃんはそのつもりだぞ」
「……ええ!?」
珍しく、大きな声が出た。困り果てたアウルはすっかり自身の羽飾りとなった羽根に触れながら、
「……そんなこと言われても。知らなかったよ」
「はー……」
呆れたようにカゲリはため息をついた。
「んでもさ、そこはちゃんとハッキリしてやれよ。じゃないとホントに嫌われるぜ?」
「分かってるよ。……にしても、どうしよう、困ったな……」
「お前はそのつもり無いの?」
しばらく考え込む。ミハネが、そういうのになる。恋人に、なる……。
「……どっちかって言うと、妹みたいに思ってるんだよな。それに、僕は旅人だよ。きっと向いてない」
本当に困り果てたようにアウルはそう言った。それに珍しい表情だなと思いながら、カゲリはこう問う。
「ほ〜ん? じゃ、ミハネちゃんが他の子に取られてもいいんだ」
「……、どう、だろう。あんまり考えたこと無かったや」
「贅沢なやつ!」
呆れ果てたと言うようにカゲリが言う。考え込んだままのアウルはふと零した。
「でも、……」
「あ?」
こうやって、贈り物を嬉しく受け取ってしまうのも。彼女に笑っていて欲しいと願うのも。
欲しいと言うのなら、この身一つくらいあげたっていいと、思ってしまうのも。
「愛、なのかなあ」
そんなことを呟いて、まあ、それもまた、本人に言うしかないかと立ち上がる。
「なあ、話が見えねえって」
「君に言うことでは無いからね」
「はあ!?」
「それじゃ」
「あ、おい待て!」
慌てて止めつつも追いかけない。気にはなるが、言葉通り自身が最初に聞いて良いものでは無いのだろう。
これから、いつも通りにアウルはミハネの所まで行くのだろうし、ミハネもそれを待ち望んでいるのだろうな。
カゲリは、そんな二人に想いを馳せながら、これが甘酸っぱいってやつなのかも、と思うのであった。畳む
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ミハネが物をよく贈ってくるようになった。
自身の綺麗な羽根をふたつ、貰ったのが始まりだったように思う。
最初の方こそは返せるものはないよと遠慮したが、とても悲しげな顔をするので、受け取るだけ受け取るようになって、数ヶ月が経って―――。
「よお、アウル」
「ああ、どうも、カゲリさん。何か用かな」
「いやいや、たまたま見掛けたから声掛けただけだよ。元気そうでなによりだ、装飾が増えたか?」
「あはは……ミハネがさ、なんだか沢山くれるんだよね。とても嬉しいのだけど、最近は持ち余してるかもな」
ぱちくり。カゲリは不思議そうに目を瞬かせて首を傾げた。
「へえ、お前らいつから付き合ってんの?」
「えっ」
今度はアウルが首を傾げた。付き合う。付き合う? ―――ミハネと?
「……いや、彼女はそういうのじゃないよ」
「え!?」
ギョッとしたカゲリは、慌てて周囲を見渡すと、ひとまず、とアウルを陰の方に引っ張って行った。
「な、なんだよ、急に改まって」
「あのな、お前。カラスの求愛行動って知らないか」
「はあ?」
び、と指を立ててカゲリは言う。
「いくつかあるにはあるんだが……、そのうちひとつに、物を贈る、があるんだ。きっとミハネちゃんはそのつもりだぞ」
「……ええ!?」
珍しく、大きな声が出た。困り果てたアウルはすっかり自身の羽飾りとなった羽根に触れながら、
「……そんなこと言われても。知らなかったよ」
「はー……」
呆れたようにカゲリはため息をついた。
「んでもさ、そこはちゃんとハッキリしてやれよ。じゃないとホントに嫌われるぜ?」
「分かってるよ。……にしても、どうしよう、困ったな……」
「お前はそのつもり無いの?」
しばらく考え込む。ミハネが、そういうのになる。恋人に、なる……。
「……どっちかって言うと、妹みたいに思ってるんだよな。それに、僕は旅人だよ。きっと向いてない」
本当に困り果てたようにアウルはそう言った。それに珍しい表情だなと思いながら、カゲリはこう問う。
「ほ〜ん? じゃ、ミハネちゃんが他の子に取られてもいいんだ」
「……、どう、だろう。あんまり考えたこと無かったや」
「贅沢なやつ!」
呆れ果てたと言うようにカゲリが言う。考え込んだままのアウルはふと零した。
「でも、……」
「あ?」
こうやって、贈り物を嬉しく受け取ってしまうのも。彼女に笑っていて欲しいと願うのも。
欲しいと言うのなら、この身一つくらいあげたっていいと、思ってしまうのも。
「愛、なのかなあ」
そんなことを呟いて、まあ、それもまた、本人に言うしかないかと立ち上がる。
「なあ、話が見えねえって」
「君に言うことでは無いからね」
「はあ!?」
「それじゃ」
「あ、おい待て!」
慌てて止めつつも追いかけない。気にはなるが、言葉通り自身が最初に聞いて良いものでは無いのだろう。
これから、いつも通りにアウルはミハネの所まで行くのだろうし、ミハネもそれを待ち望んでいるのだろうな。
カゲリは、そんな二人に想いを馳せながら、これが甘酸っぱいってやつなのかも、と思うのであった。畳む
【正城朱希/七夜蒼井】














【アウル/ミハネ】