No.346

#宇宙の箱、しあわせのかけら
562文字


「これ、違くないか」
 テオが設計図を指さしてそう言った。言ってから、余計だったか、と焦った。ミラのものだったからだ。
 駆け寄ってきたミラは、どこが、とテオに聞く。作りたいのはデジタルな手紙をとどける機械だ。破綻している箇所を指さしつつ、上手くいかない理由を話す。ミラはなるほどと頷いて、設計図に何かを書き足し始めた。
 ミラは、設計の天才だ。しかし、そのための知識は圧倒的に足りていない。だから、たまにこういう破綻がうまれる。それなのに、たまにしかうまれないから彼女は化け物なのだ。
「これでどう?」
 ミラがそれを見せてくる。確認すれば、発生していた問題はあっさりと解決されていた。
「……お前、本当に、そのアイデアはどこから……」
「……? 考えたら、分かる」
 不思議そうな顔でミラは首を傾げる。悔しくて黙れば、ミラは、は、と口を抑えた。
「嫌なことだった?」
「……いや、」
 お前のそれに嫉妬しているだけで、嫌ではない。弁明すれば、ミラは理解したというように頷いて、それから胸を張った。
 ミラのこの清々しいところは好きだった。
「でも、テオの知識は頼りにしているから」
 ミラはそう言った。テオはなんとも言えない気持ちになってまた黙った。
「嫌?」
「嫌じゃないけど……」
 お前と話すと劣等感が刺激されるから嫌だ。そう言えば、ミラは珍しく笑ってピースを作った。

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▼本編
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