No.260, No.256, No.255, No.254, No.253, No.252, No.2517件]

#概念創作  >254の話

〇書くに至った経緯
自分の思考に一区切りついたので、旅人さんにも旅を終えてもらおうかと思って……。少なくとも今の私は彼を生み出したときの私じゃないからな、と。スペシャルサンクスはフォロワー。勝手にお借りした様々達。
当時、救われたくて創作をしたんだろうなと今となっては思います。設定を読み返すと当時のことがありありと思い出されるね。

自分のために書いたし、当時のフォロワーに聞いて欲しくて書いたんですが、あまりにもわかりにくい文章になった気がしています。身内ネタすぎる!

参考までに当時の募集文と設定を載せておくので気になったら読んだり読まんかったりしてください。

〇当時の募集文
・やりたいこと
自分の概念を元とした自創作が作ってみたい!
そこにフォロワーの概念もぶち込みたい。

・やってほしいこと
自分の概念の見た目と性格を練り私に送り付けて欲しい!別にまんま本人じゃなくても良いです。理想の姿でも推しになりそうな人間でもなんでも。文章だけでも良いです。見た目は無ければ私が勝手に錬成します。
世界観とかは勝手にいじくり散らすのでなんでも許せる方のみ
あとはあまり期待せず見守っていただけると幸。

・注意事項
私の概念を中心とした創作になると思います。
こう、「私が主人公です!!!」というよりは「私視点」みたいなイメージなんですけど、それって何が違うの?って言われたら分からんので黙ります。
あとなんか 適宜確認取ります!!こんな感じのことしたいよ〜を空リプでもDMでも確認取るのでそこら辺は一応安心してもらえれば幸!です!

・世界観
世界に寿命がある世界。

少なくとも橙の自創作の中では遅かれ早かれいずれ終わりゆく世界にみんなたちには生きてもらおうかなと思っています。

世界設定については設定したければ好きに設定していただいて構いません。寿命についてどう思っていても良いです。それらに対抗する手段があっても良いし、無くても良い。マジで好きに決めていただいて良い!です。
畳む


〇旅人の設定
終わりゆく世界を観測する観測者であり、旅人。元々は他の世界で神様と言われる存在だったが、誰も彼もを救おうとする性格のせいでなにもかもが上手く回らず世界から追い出され、それからは宛もなくふらふらと色んな世界を旅をし続けている。

様々な生きている者たちの願いを知っている。それら全てを救うことが難しいことを承知した上で救いたいと願っており、そして自分も、救われたいと願っている。要するに割り切るのがめちゃめちゃ下手なひと。神様としての力は既にほとんど無い。多少の魔法(と表現するのがいちばん近い)が使える。ただ、魔法は願いの力である。あまりにも大きな願いは同時に、自分自身の願いを削ることとなる。

旅人の願いは「他者を救い、自身も救われること」。この大きな願いは少しでも削れば道は遠く離れる。

世界中の誰かと、自分も一緒に救われる道を模索して足掻きながら、最低限できることとして観測している。

結局は終わりゆく世界の結末と、そこに生きる誰かたちを観測し、記録する。それになんの意味があろうとなかろうと、きっといつか、誰かの何かにはなれる。そう信じている。

一人称:ぼく、二人称:あなた、(名前)さん


「この花は、ネモフィラっていうんです。……もうぼくには関係の無い世界の花なんですけど、ぼくはこの花が好きなんです。」
「青色?ああ、たまたま好きな花が青いものだったならそれに合わせているだけで……別に、青色が特別好きってわけじゃないですよ。」

「どうしたら、ぼくは正しく楽に生きられたんだろう、って思わなくもない、ですけど。でもぼくが、生きるものたちを踏みにじって、その先にある自分だけの利益を手に笑うような人じゃなくて良かったと、ぼくはぼくをそう思っています。ぼくはしんどいけど、でも、そしたらだれも独りじゃないでしょ?」



旅人が生み出した、少し不格好な世界。旅人以外のそれぞれの子たちはもともと違う場所からやって来ている。それぞれ元いた場所の記憶は無い。
世界が無いと存在することすら出来ない、ただ、消えることが怖い。旅人は臆病な神だ。
願いを削ることは、心を摩耗させることとそう変わらない。それを旅人が自覚するまでに、いくつ世界が滅んだだろう。

旅人という神が居るから世界は生まれ、そして簡単に滅びていく。他者を救いたいと願いながら自分が救われたくて、心のどこかで世界なんて終われば良いと思っているのだ。
その願いを観測することの出来たえらい人たちは、顔も名も知らぬ旅人を今日も探している。
しかし、世界が滅びるという運命は、滅びた方が良いという判断は、神が下したものなのだ。

旅人という神は自分勝手であり、自分に縁のある者としか出会う事は無い。
だから、旅人がそれを自覚することは無く、今日もいつも通り、世界を作り上げ、回していく。


・願っていること
「他者を救い、自分も救われること」

もっと詳しく言うと、「誰も彼も、生きているものたちが救われる世界」、もしくは「傷つかずにいられる世界」を望んでいる。
それがどれだけつまらないものだと言われようと、ぼくはもう傷つきたくない。結局は全て自分のエゴであり自分のため。

・理想と現状
理想:誰も傷つかなく、誰も傷つけなければ、ぼくも救われるのに。
現実:当たり前に何かに傷ついた人がいるし、他人を傷つける人もいる。それらは全て、傷つけた人が100%悪いというわけでもなく、そうなった要因が100%悪い訳でもない。だから、旅人は何も出来ない。仕方の無いことだ。

・現状への割り切り方
「仕方の無いこと」、分かってはいる。旅人はただ綺麗に生きたいだけで、他の命を踏みつけて笑う自分を自分が1番許せないだけで、結局は他人のためではなく自分のためだ。それも分かっている。分かっている上で足掻くことにより、自分の願いと向き合い続けることで、綺麗であり続けたい。

他人から見て綺麗かどうかは分からないが、たとえそれが偽善でも「良い人」でありたいのだ。
畳む

文章

#概念創作 SS  4040文字


 彼は、旅人だ。―――旅人、だった。
 今まで、たくさんの旅をして、たくさんの人々と出会い、そして、見送ってきた。
 この旅に終わりはない。
 なぜならこの旅は、旅人の意思ではなく、勝手に流れていくものだからだ。
 一つ、また一つ世界が滅んで、神様たちは世界を作る。旅人はそこに流れ着く。
 ―――そう、身勝手にも。身勝手に世界を作り、命を与え、旅人たちは、生き続ける。

 今回も、変わらぬような、そんな旅だった。
 いつか滅ぶと予言されている世界を、観測し、ノートに書き溜める。ノートはとっくに分厚くて、旅人の拡張式の特殊なバッグだっていっぱいになりそうだった。
 誰も救えなかった。一つ世界をまたぐ度、何かの記憶が零れ落ちる。
 誰も救えなかった。
 ―――誰も、救わなかった。
 でも、なぜか。穏やかな気持ちだけがそこにあって、静かに揺れていた。

 トン。なんだか固い音がして、旅人は地面に降り立った。
 流れ着いたのだ。次の旅の目的地に。

 しかしなんだか様子がおかしい。見渡してみれば、生き物の姿が全くなかった。
 青い空。白い雲は浮かばない。草原。遠くに大きな海が見える。昼間なのに、月もなんだか大きくてきれいだった。
 ここはどこだろう。そして、どうして生き物がいないのだろう。
 そんなことを考えて少し、気づいた。旅人はこれを知っている。
 これは、僕がかつて願ったなにかの、―――夢の、成れの果て。旅の終点、随分と遠かったはずの、世界の中心。

 ああ、それにしては、この空間は旅人を知りすぎている。
「まるで、僕自身を象った箱庭みたいだ。」
 ぽつりとつぶやいた音はやけに大きく響いて、旅人は居心地悪そうに肩をすくめた。
「へんなの」
 改めて周囲を見渡しても、どれだけ声を発しても旅人に帰ってくるような何かはなかった。
 それが不思議で、少し不安だった。

 ゆっくりと足を踏み出す。見知った感覚で地面に足が付き、あっさり離れる。この世界の重力には慣れるのに困らなくてすみそうだ。
 軽く息を吐いて、歩き出す。せっかく海があるのだから、海に行ってみよう。

 特段面白いこともなく旅人はその砂浜にたどり着いた。波打ち際には小さな空のガラス瓶が流れ着いている。きれいな海だった。
 ガラス瓶を拾う。何気なしに開けてみれば、大きな音で笑い声がガラス瓶から発された。思わず耳を塞いだ。いやな響きだった。
 笑い声はそのまま瓶からするりと抜け出して、どこか遠く、手の届かないところまで行ってしまった。
「……なんだよ、もう」
 それが聞こえなくなってから悪態を一つついた。思い出す。そう、当時は耳を塞ぐことすらできなかったそれ。
 ただ耐えることしかできなかったそれ。
 悪態をつくなんてもってのほかだった。ずっと、受け入れることに必死だった。
 ああ、聞き流せるようになってしまった。旅人はそう思った。
 それは君にとって悪いことだろうか。そうであるにしろ、君は楽だろうに。

 いつしかの旅人はこう言っていた。
 旅人は、ただ綺麗に生きたいだけで、他の命を踏みつけて笑う自分を自分が1番許せないだけで、結局は他人のためではなく自分のためだ、と。
 それも分かっていて、足掻くことにより、自分の願いと向き合い続けることで、綺麗であり続けたい、と。

 他人から見て綺麗かどうかは分からないが、たとえそれが偽善でも「良い人」でありたいのだ。
 それについて、思考を巡らせているようだった。旅人は何も答えない。

 気を取り直して、と旅人は進んでいく。
 波打ち際には、いろいろな物が流れ着いているようだった。
 子供サイズの靴。どこかで見たことがある。少しおしゃまなかわいい靴。きっとあの子のものだろう、あの子は、自身が無知であると良く知っているようだった。
 そのくせ、知らないことを全く知らない、まだまだ成長途中の、ちょっと強気な女の子。
 だからこそ、旅人はその純粋さを許容できなかった。それが苦しかった。

 覚えている。

 ロザリオ。これはあの不思議な―――言ってしまえば少し変な、心の優しい神父のものだろうか。
 変な人だった。旅人は海の中でも死ぬことはないと何度言っても、一人でいるよりはと教会に誘うような、穏やかで暖かなひと。それゆえに、たくさん心配をかけたのだろうなと、勝手に思う。思うくらいには、穏やかに日々を送れるようになった。

 だから、感謝しているのだ。さみしい夜を放っておかずにいてくれたことに。
 不思議な人だった。

 覚えている。

 ネジ。怪物を名乗る彼のものだろう、世界は滅んだが、彼は、ネジがなくても生きていけるようになっただろうか。
 彼は、無くしたネジを、一緒に探してくれる人を。生きる意味になれる誰かを探していたのだろう。旅人は、その性質上、それにはなれなかった。
 今、旅人は、悔やんでいるのだろうか。自問する日がある。
 自分と他人の存在を、言葉で肯定したいと彼は言っていた。今なら、旅人であればこういうだろう。

 存在というものは、みんな等しく欠陥を抱えている。自分が自分であると証明するのには長い時間が必要になる。それでも、生きていていい。生きていて、いいのだ。それを探す旅をしているんだ。ぼくたちは、きっと。
 旅を続けるのに理由がないのと同じように、旅を終わらすのにも理由はいらない。それでいいのだ。好きなものを生きる理由にして、好きなものを答えにすればいい。彼が、もっと楽に生きていたらいい。
 旅人は、裏切ってしまっただろうと思うのだ。彼の信頼を。申し訳ないとは思う。でも、旅人は神様にはなれなかった。なれない。これからも、ならない。

 それでいいと肯定できるようになったのは、きっと、彼のおかげでもある。

 覚えている。

 大きなカバン。勝手に浮いてしまうのだと言った、彼女の持ち物だ。
 彼女は、最期に旅人にこう言った。

「花畑を踏みしめてこぼれた種が、旅人さんの靴に運ばれて、どこか遠い場所で新しい命を芽吹かせることがあるかもしれない」
「そうして咲いた花が、いつか新しい花畑になって、あなたや……別の誰かの心を慰める日が来るかもしれない……って」

「……都合の良いストーリーだって思うかな。でも私は、そんなことを思い描く自分を、どうしてか責める気になれないんだ」
 穏やかに笑う彼女を見て、旅人は、「人間の祝福」の意味を知ったのだ。

 いいのだ。世界が救えなくても、誰かを、花々を踏みしめて歩くことしかできなくても、美しく生きれなくても、だって、それが人間のかたちだ。
 ―――旅人の愛する、人間だ。
 そうだ、思い出した。僕は神様だった。落ちこぼれで、出来損ないの。小さな小さな神様。

「ああ、それにしては、この空間は旅人を知りすぎている。」
 それはそうだ。だって、この世界も、あの世界も、どれもが僕が救われたくて作り出した白紙の世界だ。美しい人々と、僕の描いた心象風景。
 それが良かった。それで良かったんだ。救えないことに痛む心も、誰かを踏みつけて生きている事実も、抱えたまま生きられるようになってしまった。大人になったというのかもしれない。
 罪悪感はある。けれど、後悔しようとは思わなかった。楽だからかもしれない。でも、それでいいのだ。

 僕がそうであることで、喜ぶ人がいる。安心してくれる人がいて、笑ってくれる人がいる。
 僕にはそれでじゅうぶんだった。

 僕がこうでなければ、誰かとは話せなかったかもしれないし、誰かがそうでなければ、僕とは関わらなかったかもしれない。
 反対に。僕がこうであるから関わらなかった誰かもいるだろう。
 それで良い。良かった。だって、そういうものだ。そういうものだ、で、納得できるようになってしまった。

「―――僕も君も、あの日の僕たちではなくなったかもしれないけれど、」
「君にも、僕にも。これからも変わり続ける日々にも、暖かな祝福があればいいなって思うんだ」‎
「もっとも、そんな高尚なことは出来ないんだけど……」

「……それで、良いんだと、思えるようになった。こうやって祈ることこそが、誰かにとっての救いで、祝福なのかもしれないな、と」

「それが、僕が旅で得た答えだよ。」

  誰にでも無く旅人はそう言う。風が吹いている。

 覚えている。

 ガラスペン。青い炎のランタン。使いかけの絵の具。鏡の破片。
 濡れていない傘。忘れ去られた鍵。使われなかった消しゴム。誰かの日記。

 後悔も、温もりも、悲しみも、穏やかさも。
 寂しさも、喜びも、怒りも、醜ささえすべてを抱きしめて、僕は生きていくことにした。

 それが、誰かにとっては悪い決断かもしれない。それで良かった。だって、人は間違う生き物だ。
 僕は、旅を経てなお、神様にはなれなかった。
 だから、人として。
 人として君たちに祝福を贈りたいのだ。

 ―――僕と出会ってくれてありがとう。そして、
 どうか、君たちの旅に、なにかしら美しいものが在ればいい。
 
 もっともっと素敵で、もっともっと美しい、たくさんの楽しい思い出を詰め込んで、そのまま穏やかに一生を終えてほしい。
 そうだ。
 また会えたらいい。きっと君のことも、一生分覚えていようとしたとして、いつか忘れてしまうかもしれないけど。
 忘れてしまっても、残るものはある。あるんだ。例えば、僕の旅の答えが見つかったみたいに。
 旅が、地続きで続いていくみたいに。

 僕はそれで満足することにするよ。

 君たちの旅に、たくさんの祝福が降り注ぎますように!
 そして、たくさんの愛が、君たちの周りにあふれていますように。

 いつの間にやら草原にたどり着いた旅人の足元からネモフィラの花が広がっていく。
 ああ、もうこれ以上の魔法は使えないけど、きっといつか、ここにも生命が生まれるのだ。

 穏やかな気持ちだ。なにもかもを、僕一人で救わなくてよかったんだ!
 僕は一人じゃなかったんだ。

 地面に倒れこむ。旅の疲れか、体力が尽きていた。
 でも、きっと旅は終わらない。
 この世界は、続いていく。

 さようなら、またいつか。
 今度は、人間として。もっと君と、怒ったり、泣いたり、笑ったり、悩んだりして、対等に話ができますように!
 星がちかちかと瞬いて、まるで返事をしているみたいだった。畳む



補足 >255

文章